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メールマガジン

Vol.85 営業という行為について

○1.実は先日、ある会員制リゾートの会員権を販売する会社の営業マンが来社しました。

特段その会社と何か関係があったわけでもなく、電話があってたまたま私の叔父が昔、その会社の役員をしていたこともあって話だけ聞くことにしました。

その営業マンは20台半ばで誠実そうに見える若者でした。

電話でアポイントをとった人は、比較的年配の男性の声に聞こえましたが実際に来たのはその青年でした。
少し引っかかりましたが話を聞くことにしました。

話の内容は
お得な内容の格安の会員権があるので法人で購入をお勧めするというものでした。
社員の福利厚生の制度として活用されてはどうか、という切り口です。

ところがその商品に関する説明書が何もなく、話だけの勧誘でした。

全国的に名の通った会社なので詐欺話ではないでしょうが、余りの酷さに驚きました。

確かに格安というだけあって安いのですが、安いなりということもあります。安物買いの金失いというのは今も立派に通用する教訓です。

資料がないだけでなく、いくら安いとはいえ、どうも当日中に契約(或いは仮契約)に持ち込もうとしているようでした。

○2.私は、その意図に気づいたので今日はじめて会ったのに契約なんかしない、
よ、と明確に告げました。

当然のことです。
商品内容が分かる説明書もないのに初対面の営業マンと百万単位の契約を
する経営者がどこにいるというのでしょうか。

もしいたら経営者失格だと断言できます。

ところが営業マンの話によると決して少なくないようなのです。
それも驚きです。

大体うまい話にまとも話はありません。
それが世の常なのです。

ただ、このような話に乗る人がいるとしたら、それは相手の雰囲気に?み
込まれてしまうからでしょう。

〇3.その営業マンは、私から見て決して悪人には見えませんでした。
比較的誠実な感じを受ける青年でした。

しかしその彼が話の最後に、
僕らの仕事はお客さんにものを考えさせたら負けなんです、と言ったのは大変興味深いものがありました。

ああそういうことなのか、と感じ入りました。

資料を用意し、懇切丁寧に説明し、その疑問に答えていたら、決して当日には契約はしてくれないでしょう。
むしろ考えるから時間をくれ、といわれるだけです。

翻って私たちの仕事の仕方は、むしろお客様に十分な情報を提供し、時間かけて、じっくり考えて頂き、納得ずくで購入いただくというスタイルをとっています。

そのような手順を踏むことで、購入後も行き違いがなく長い間お付き合いが出来るのです。
私たちとはまるで正反対のスタイルです。

私はその是非を問うつもりはありませんが、私たちには出来ないスタイルです。

ひとつ私が気がかりなのは、その青年がこのようなスタイルを決して良いとは思っていないように感じたことです。

会社に入った以上はそれが会社のスタイルであるならば、辞めない限りそのスタイルに従うほかないのですが、彼がどこまでこの会社で仕事を続けることができるのだろうかと思いました。
彼の会社の営業マンの平均年齢が30歳そこそこであるらしいからです。
創業40年の会社にしては平均年齢が低すぎます。それが何を意味しているかは言うまでもないでしょう。
だから私は彼の将来が気になります。

今回はほとんど仕事と関係のない話題でしたが、色々と感じたこともありましたので書き綴ってみました。

今回もお読みいただき誠にありがとうございました。


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○【次号予告】 次回6月号のテーマは未定です。