「CASE」車業界の今後

車好きの情報発信 vol.24

パステルの森下です。今回は自動運転(完全自動運転)の進捗、展望について記載します。

市販車の自動運転(完全自動運転)については、各自動車メーカー、特に後発のテスラ、アップルなどがAIを使った技術開発をすすめています。海外では、タクシーやバスで自動運転を実用化しています。ですが、多くのメーカーが自動運転の開発を躊躇(中断はしていませんが、積極的に開発を進めていない状態)しています。大きな理由は、一般道での自動運転のハードルが高いということです。高速道路や自動車専用道路での自動運転は、信号が無い、歩行者がいない、交差点がない、速度制限が一定、路線情報が一般道に比較して少ない等、制御に必要な情報量が圧倒的に少ないためハードルが低いといえます。自動運転のレベル3がこれになります。レベル3では、運転者は、常に自動運転を監視する必要があり、事故が起こった場合の責任は、運転者にあります。

完全自動運転は、レベル5になります。レベル4も自動運転するのですが、緊急時(システムが制御困難な状況になった場合)は、安全な場所に緊急停止するという条件が追加されます。ただし、レベル4からは、事故が起こった場合の責任は、メーカーにあります。なので、完ぺきな自動運転システムを開発する必要があります。ここにもメーカーが開発を躊躇する理由があります。

また、最近になって自動運転について、ある識者が「完全自動運転は不可能です」と提唱しています。理由は、自動運転はAIが行いますが、次のような場面においてAIにどう判断させるのか。という投げかけです。「自動運転している車に反対車線の車が急に前方に飛び出してきました。そのまま直進すると衝突します。左によけると小さな子供を轢いてしまいます。右によけると老人を轢いてしまいます。」というものです。あまりにも極端な状況かもしれませんが、想定される状況です。人間が運転していた場合、おそらく咄嗟にどちらかにハンドルをきって(右ハンドルの車の場合、自分を守るという本能が働くためか、右にきることが多い)衝突を回避すると思います。他人を守るために自分を犠牲にするという判断は、咄嗟には出来ないためです。ですが、AIが制御している場合は、根拠のない制御は出来ません。では、どうゆう制御条件が考えらるでしょうか。「他人に被害を与えないように衝突する」そのような車を買う人はいるのでしょうか。「年齢ランクを設定してランクの上下で判断する」命にランク付けしてもいいのか、と批判が出ます。このように、どのような条件を設定しても批判は避けられません。

悲観的な記事になりましたが、ヨーロッパでは、2030年代に市販車で完全自動運転を実用化するという目標があります。今後の進捗をみていこうと思います。