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メールマガジン

Vol.60 東北関東大震災とその後について

○1.このところ発行期日を守れていません。申し訳ございません。

今回も東北関東大震災の話を継続します。

このメルマガをお読みの方々は被災地の企業とお取引があるでしょうか。
或いは被災地を重要なマーケットとしてお持ちでしょうか。

もしそうであれば今回の震災で大変な影響を免れることは出来ないでしょう。
巷間5月ごろから震災関連で中小零細企業の資金需要が逼迫するような噂もあります。

もともと景気回復が十分とはいえない状況の中で起こった大震災です。
何でこんな時に、という感は免れません。

業績の良かった企業でも回復のスピードは鈍るでしょうし、そうでなかった企業では一層、業績悪化のスピードは増していくことでしょう。

このような状況の中で、我々は一体何を考えて企業活動に邁進すればよいのでしょうか。

○2.東北関東大震災のその後について、復旧ではなく復興であり、そしてこれを機会に色々な面で、新たな「創造」を行なうべきだという考えがよく聞かれます。

確かにそうだと思います。

阪神淡路大震災の前、神戸港は世界でもトップ5に入る商業港でした。

しかし
「復旧」(元に戻した)してしまったために、なんと世界でも45位あたりに転落し、いまだに元の地位を回復していないといいます。

神戸港が復旧している間に、世界各地の商業港は新たな取り組みを行ない最先端の商業港に変貌していったのがその原因です。
つまり神戸港は取り残されたのです。

このことは大きな示唆を含んでいるように思います。

今世界はどのような分野においても日進月歩で変化し続けています。

たとえばメーカーなら
どのタイミングで新たな設備投資を実施し、革新的な生産設備に変革していくかは、とても難しい経営判断です。

このタイミングを間違えることで衰退し、マーケットからの撤退を余
儀なくされた事例は数知れません。

或いは
新規事業分野への進出が後手後手になり、そのタイミングを見失ってしまい衰退する既存事業の中で苦しむ構図は、
どこにでも見受けられます。

平時では、なかなかそのような大胆な発想の転換が出来ないものです。

○3.その意味で、誤解を恐れずにいえば
まさに今回の災難は、
今まで思い切ってできなかったことに取り組む絶好の機会と言えます。

彼らの苦難を我がものとし、我らの精神を組み替え、
旧弊の中に沈んでいた自社(自分)を新たな世界に導き出す。
そして
今まで恐れて取り組むことの出来なかった新しい事業(仕事)に取り組む。

3.11は、私たちの日本人の世界観を根本的に変えた様な気がします。
9.11も同様でしたが、私たち日本人にとって、3.11はそれ以上の意味を持つ出来事です。

今回の災難を我がものとし、
被災地の人々と苦難の思いを共にするだけでなく、
共に新しい地平へと邁進していくこと。

大袈裟に言えば
これが今回の大災難に対する日本人の歴史的使命のような気がします。

関東大震災の時も、終戦後の焼け跡の時も、
日本人は悲嘆にくれることなく不断の努力と創意工夫により世界が目を見張る高度成長を成し遂げました。

自分たちの身の回りで出来ることから変えていけばよいのですが
ひとりひとりの少しずつの努力の集積が大きな変化を生んでいくと思います。

私たちは被災しなかったから良いのではなく、
身内に死者や重傷者が出なかったから良かったのではなく、
被災地と取引がなかったから良かったのではなく・・・

もっともっと深いところで
私たちの生き方の根本を問い直す機会にしようではありませんか。

そうすればきっと明るい未来を開く一歩になると思います。

今回もお読み頂き誠にありがとうございました。

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○【次号予告】 次回 4月号のテーマは、未定です。